2014年3月31日月曜日

中央大学 白倉隆之介


「研修生活動を終わって 後に続く皆さんへ」
 
 本日は,私が研修活動(議員インターンシップ)で学んだこと・感じたことなどをご報告させて頂きます。特定のイベントの報告というより,研修内容の全体的な話が中心になるので,他の皆さまとは少し違ったスタイルになるかと思いますが,どうぞ最後まで目を通して頂ければと思います。
 

 まず,私は,今回の研修活動に参加するにあたって,自分自身の中で,三つの目標・目的を立てました。一つ目は,議会における議員と理事者(行政)の関係を,議員研修生という立場から感じ取るということです。
 二つ目は,議会が,どのような手続きを踏んで,どういった形で運営がなされているのかを学ぶということです。というのも,私は,現在,大学において地方自治論を専攻しているのですが,教科書で学ぶフレーズや専門用語は,何度読み返しても,どうもぼやけたままでした。ならば直接,議員の先生の下で,肌で感じて学び取りたいと思い,参加を決意しました。
 そして,三つ目には,議員紹介用のパンフレットやHPにおいて,本橋先生が「保守」というものを,人生をかけて追求されている議員さんであることを伺い,自分も,若輩者ではありますが「守るべきもの・変えるべきもの」を,この研修活動の中で少しでも見つけたいと思い,このことを目標に掲げました。

 初めて,豊島区役所に研修に伺った,2月14日は,4階のフロアマップを指さしながら,本橋先生から直接、区議会の案内をして頂きました。

「ほら,会派によって控え室の広さが違うだろう。」

「自民党豊島区議団は最大会派だから,一番大きい角部屋,その次に公明党,共産党

「この世界では,数は力で,数が集まらなければポストも与えられないんだ。だからこうやって会派を新しく結成したりするんだ。」

生まれて初めて政治の世界に足を踏み入れた私にとっては,とても印象的な言葉が並びました。

「猿は木から落ちても猿だが,代議士は選挙に落ちればただの人だ。」これは,かつて自民党副総裁,衆議院議長などを務められた,大野伴睦先生が残してくださったお言葉です。 高校時代,政治経済の授業の雑談で,教科担当の先生がこの言葉を教えてくださった時は,「へぇーなるほどなぁ。」と思うくらいでしたが,いざ,現職の議員の先生からそのことを言われると,大変な重みがあり,議員の先生方はまさに日々が戦いなのだなと感じました。

 2月17日からは,主に議会(本会議・委員会)の傍聴をしました。本会議場の全体像と,その時の私の様子をお見せできないのは残念ですが、私は,先述した目標の一つ目と二つ目の「答え」を自分なりに見つけたいと思い,傍聴席から誰よりも熱い視線を送ることにしました(傍聴席は,本会議場の2階席にあたり,4列になっています。議員席は48席ありますが,現在,定員は36にまで削減されており,空席が目立ちます。また,本会議場の正面の日本国旗は本橋先生はじめ自民党区議団の先生方が奮闘され,ようやく飾られることになったそうです。神聖な場にふさわしい姿に身が引き締まりました。)

 21日と22日両日の本会議一般質問では,各会派と行政側の距離感を推し量ることが出来ました。質問の内容・中身はもちろんですが,口調,語尾,態度など,会派ごとに様々な特徴があり,とても興味深かったです。
 また,ある党の一般質問が始まると,急に傍聴者の人数が増えたり,別の党になると傍聴者がまるっきり入れ替わったり,支援者と議員の距離が近い,区議会ならではの傍聴席の動きというものも注目に値するものでした。

そして,この時,初日に本橋先生から「区議会議員36名の,顔・名前・会派・所属委員会をなるべく早く暗記せよ。」と言われ,必死になって覚えた理由が分かりました。
確かに,顔と名前と会派を覚えていれば,「この人の所属会派は,○○党だから,このような内容と口調になるのだな」ということが直ぐに理解でき,その後の理事者答弁の大まかな方向性と展開も読むことができます。すると,聞いていて飽きることがありませんから,有意義な時間を過ごすことができます。本橋先生は,そういうところまでをしっかりとお考えになって,私たち研修生に指示を出して下さっているのだなと改めて実感しました。

 3月に入り,第一週は,予算特別委員会が開かれ,区分ごとに活発な議論が交わされました。この際,議員の先生方と理事者の方々の距離感はどうか,というところを注意深く観察していたのですが,しっかりと中身のある答弁をしている理事者に対しては,議員がむやみに問い詰めるということもありませんでした。傍聴する前に抱いていたイメージよりも,両者は「区民のために」という思いで,決して対立関係ではなく,かといって馴れ合いでもなく,適度な緊張感を持ちながらの「協力関係」にありました。

また,質疑の中身も「○○通りの○○交差点で」「○○小学校のスクールバが・・・」といった,豊島区民の自分も通ったことのある,あるいは耳にしたことがある固有名詞が多く出るなど,これまた当初思っていたよりも身近で,政治と暮らしは,乖離しているものでなく,繋がっているということを感じ取ることができました。
 

 予算特別委員会を傍聴して,学んだこと・感じたことは多々あるのですが,その中でも印象的だった3月8日のエピソードを紹介させて頂きます。

3月8日の予算特別委員会では,「文化商工費・教育費」についての質疑応答がありました。その中で,ある会派の議員から,「豊島区はICTInformation and Communications Technology)教育に力を入れており,電子黒板や実物投影機の導入も,23区内ではトップクラスの早さです。我々会派としても,今後もさらに推し進めていって頂くことを期待します。」という発言がありました。
私もこの議員の発言に賛同したので,お昼休憩の時に「豊島区は先駆的で素晴らしいですね。」と先生に伝えました。
 すると,本橋先生は,「確かに便利にはなった。しかし,視覚に訴える部分が強くなりすぎると,教師のもつ人間性という部分が見えなくなってしまうんだ。人間教育という部分だね。この政策は良いなと思って,直ぐに飛びつくのではなく,その裏に隠されているものを考えないとだめだよ。」とおっしゃいました。

この時,ハッとしたのを今でも覚えています。まさに,先生が議員活動,そして人生をかけて追求され続けている「保守」という考え方の一端にふれることができた瞬間でありました。物事を表面的にとらえて流すのではなく,しっかりと本質に迫って,そこから何時の時代であってもぶれない「正論」を導き出していく。この思考過程の訓練が,今の自分には不足しているなということに気づかされた瞬間でもありました。

 3月22日の本会議並びに総務委員会では,自民党豊島区議団の竹下ひろみ先生より,議員提出議案の説明がありました。この提案は,平成24年6月支給の期末手当の額を減額するという改正条例案で,議員自らが身を削って,区民に覚悟を示すという意味では,とても良い提案だと思いました。議会の大きな役割の一つである,「政策形成機能」を肌で感じることできました。今後は,より広い分野で,この機能が発揮できるよう,区議会の先生方の更なるご努力に期待したいです。そして私も,地方自治を学ぶ人間の一人として,そのあり方を,残りの大学生活の中でしっかりと学び,考えていきたいです。

 今回の研修活動(議員インターンシップ)は,つごう10日間余りの参加でしたが,将来,行政の道を志す私にとっては,現職の議員の先生が,どのような議員生活を送り,また行政とはどのような関係にあるのかを知ることができ,とてもためになる経験をさせて頂きました。

そして,それだけにとどまらず,本橋先生は,これから社会人として私が生きていく上で必要な,マナーや礼儀も教えてくださいました。先生曰く「君たちよりも先を生きてきた人間として,躓きの石を取り除いてあげたい。」ということで,大学生になって親元を離れると,ここまで自分のことを気にかけてくれる大人はそうそういないものですから,先生からの叱責には「故郷の父親」のような愛情さえ感じました。また,先生のスマートで機敏な振る舞いを間近で拝見して,自分はまだまだ甘いなということを痛感しました。その機敏さの一方で,先生の振る舞いには,常に,相手への思いやり,気配りがこめられており,この心こそが,日本人としてこれからも持ち続けていくべき美徳であるのだと思いました。
 加えて,社会人としての,「報告・連絡・相談」の重要性も身をもって学びました。私のたった一回の報告忘れが,多くの方の貴重な時間を割くことになってしまい,ひいては信頼関係をも壊してしまうということに気づかされました。このようなことは,普段大学の中にいると,「言わなくても通じているだろう。」と,学生気分でなぁなぁになってしまうことが多かったのですが,これからはそういった甘えは一切排除し,2年後に,社会人として世の中に出たときに恥ずかしくない行動・振る舞いをしていくことを誓います。

最後に,I―CAS議員インターンシップとしての研修は終わってしまいましたが,これからも人生の大先輩として,本橋先生のことを慕い続けていきたいです。先生のように,一つひとつの行動に対し,しっかりと意味づけをし,考えながら動ける大人になり,そして,何時の日か,先生に「お前もやっと一人前になったな。」と言って頂ける日が来るよう,努力と精進を重ねて参ります。先生には多くのご迷惑をおかけしてしまいましたが,私にとっては社会勉強の日々で,とても充実した研修でした。本当にありがとうございました。
 





 

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